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2021.08.24 お役立ち情報 【解説】屋根の工事。カバー工法のメリット&デメリット

住宅を建ててからしばらく経つと、屋根の劣化が始まり、雨漏りなどが発生するようになってしまいます。

屋根の耐用年数は用いられている屋根材やお住まいの地域などによって大きく異なりますが、20年~30年ほどで何かしらの不具合が発生するようになると考えておくべきです。

実際屋根に不具合が発生するようになってしまった場合、屋根の修繕をおこなわなくてはいけませんが、そのときに用いられる工法の一つが、「カバー工法」です。

この記事では、屋根の修繕をおこなうときに知っておきたいカバー工法について解説していきます。

カバー工法の概要についてはもちろん、葺き替えとの違いやメリット・デメリットについても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

屋根カバー工法とは

はじめに、屋根カバー工法とはどういった屋根の修繕方法なのかについて解説していきます。

(1)屋根カバー工法の基礎知識

屋根カバー工法は、劣化してしまった屋根の修繕方法の一つです。

既存の屋根の上にルーフィングと呼ばれる防水シートを張り、その上から新しい屋根材を設置していきます。

既存の屋根材を撤去せずに上から重ね張りするため、「カバー工法」という名称で呼ばれているわけです。

(2)なぜ、屋根のカバー工法をするのか?

塗装では保護ができないくらいに傷んだ屋根は修繕しなければなりません。

屋根の修繕方法には「葺き替え」と呼ばれる修繕方法もあります。

屋根の修繕を葺き替えではなくカバー工法でおこなった方がいいケースと、カバー工法ではなく葺き替えでおこなった方がいいケースの違いについて解説していきます。

①屋根の葺き替えよりカバー工法を選んだ方がいい場合

屋根の修繕にかかる費用をとにかく少しでも抑えたい場合は、葺き替えよりカバー工法を選ぶべきです。

カバー工法は既存の屋根材を残したまま修繕をおこなうため、既存の屋根材を撤去したり下地を補修したりする必要がなく、修繕にかかる費用を大幅に抑えることができます。

②屋根のカバー工法より葺き替えを選んだ方がいい場合

費用の面で優れているカバー工法ですが、屋根の劣化が下地部分にまで及んでいる場合は、下地部分の補修をおこなわなくてはいけないためカバー工法では対応できません。

既存の屋根材を撤去し、下地の状態を確認しながら補修できる葺き替えでの対応が必要です。

また、カバー工法は既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置するため屋根の重さが増してしまいます。

そのため、住宅の屋根がカバー工法に耐えられないと判断される場合も、カバー工法ではなく葺き替えでの対応となります。

(3)価格の比較

屋根の修繕を実施する場合、何よりも気になるのが修繕にかかる費用について。

カバー工法で屋根を修繕する場合にかかる費用の目安と葺き替えで屋根を修繕する場合にかかる費用の目安について解説していきます。

①カバー工法の費用と目安

カバー工法の費用は、住宅の屋根の広さや用いる屋根材によって異なるため一概にいくらとはいえませんが、30坪の住宅の屋根をスレートを用いてカバー工法で修繕する場合の費用の目安は「80~150万円」となっています。

②葺き替えの費用と目安

カバー工法と同様に、葺き替えで屋根の修繕をおこなう場合も見積もりを作成してもらうまで正確な費用を算出することはできませんが、先ほどと同じ住宅に対して葺き替えをおこなう場合の費用の目安は「100~200万円」となっています。

葺き替えの場合、カバー工法よりも20~50万円ほど費用が高くなると考えておくようにしましょう。

屋根カバー工法の5つのメリット

屋根の修繕を葺き替えではなくカバー工法で実施する場合、どのようなメリットが期待できるようになるのでしょうか?

代表的な5つのメリットについて解説していきます。

(1)費用を抑えることができる

屋根の修繕をカバー工法でおこなう最大のメリットとしては、やはり費用を抑えられる点があげられます。

費用の目安の部分でも紹介させてもらったとおり、屋根の修繕を葺き替えではなくカバー工法でおこなう場合、平均で20~50万円ほど費用を抑えられます。

また、工事の内容や依頼する業者によっては、より費用を抑えることも可能です。

(2)工事にかかる期間が短い

工事にかかる期間が短いのもカバー工法に期待できるメリットの一つです。

カバー工法は既存の屋根材を撤去する必要がなく手間がかからないため、葺き替えよりも3~15日ほど工期が短縮されます。

(3)屋根の断熱性が向上する

断熱性が向上するのもカバー工法で屋根の修繕をおこなうメリットの一つです。

カバー工法の場合、屋根材が二重になるため、屋根の断熱性がより高くなります。

(4)野地板に発生する結露を抑制できる

屋根材の下には野地板と呼ばれる建材が設置されていますが、カバー工法をおこなう際、既存の屋根材の上から断熱性の高い素材を設置すると、野地板の温度が下がり、結露の発生を防いでくれます。

(5)屋根の構造材を傷めにくい

葺き替えで屋根材を修繕する場合は既存の屋根材を剥がさなくてはいけませんが、屋根材は釘で設置されているため、釘がまだしっかりと差し込まれている状態の屋根材を剥がすと屋根の構造体に影響をあたえてしまう可能性があります。

一方、カバー工法の場合は既存の屋根材を剥がす必要がないため、そういったデメリットが発生することはありません。

屋根カバー工法の2つのデメリット

さまざまなメリットのあるカバー工法ですが、デメリットがないわけではありません。

葺き替えにはないカバー工法ならではのデメリットについて解説していきます。

(1)屋根の重さが増してしまう

カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置するタイプの修繕方法です。

そのため、必然的に屋根の重さが増してしまいます。

カバー工法には軽い屋根材が用いられますが、それでも屋根全体となると結構な重さになるため、住宅によっては採用できない場合があります。

(2)下地の補修はおこなえない

カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を設置するタイプの修繕方法であるため、屋根材の下地を補修することはできません。

葺き替えのように屋根の下地から修復して元に戻すような工事ではないため、屋根の下地が傷んでしまっているケースには向いていないといえます。

屋根工事業者の種類

屋根をカバー工法で修繕する場合は業者に対応を依頼することになりますが、屋根の修理業者といってもその種類はさまざまです。

代表的な5つの業者と、業者ごとの特徴について解説していきます。

(1)全国フランチャイズ店

屋根の修繕を依頼できる屋根工事業者の1つ目が、「全国フランチャイズ店」です。

屋根の工事を専門的におこなっている業者のフランチャイズに加盟した会社が、それぞれの地域で事業を展開しています。

①指定の材料を使わざるを得ない

フランチャイズに加盟した場合、その会社は屋根の修繕に関する知識や技術、ノウハウを提供してもらえるため、このタイプの業者は、基本的な技術力が高いタイプの業者だと言えます。

ただ、使用する屋根材のメーカーやモデルが指定される場合が多く、自由に選べないというデメリットがあります。

②お客様が10%前後の加盟料を負担する

フランチャイズ店はフランチャイズを展開している業者にお金を払い、フランチャイズに加盟しなくてはいけません。

加盟料は業者によって異なりますが、10%前後で設置されていることが一般的です。

全国フランチャイズ業者に工事を依頼した場合、この加盟料が上乗せられた料金で工事を依頼することになるため、費用が高くなってしまう傾向にあります。

(2)ハウスメーカー

屋根の修繕を依頼できる屋根工事業者の2つ目が、「ハウスメーカー」です。

比較的規模の大きな会社が多く、対応もしっかりとしています。

①広告費やモデルハウスの維持費が入るため高額になりやすい

大企業が多く対応もしっかりとしているハウスメーカー。

そのため安心して工事を依頼できるというメリットがありますが、ハウスメーカーは広告費に多額の予算をかけるため、工事費用が高くなってしまいがちです。

また、展開しているモデルハウスの維持費用にもお金がかかるため、他の業者に依頼するよりも高額になります。

②瑕疵担保責任は築10年まで

ハウスメーカーに建ててもらった住宅の屋根で不具合が発生しており、そのハウスメーカーに相談しながら対応を進めていきたい場合、瑕疵担保責任に注意しなくてはいけません。

ハウスメーカーの瑕疵担保責任は築10年までとなっているため、その期間を過ぎてしまうとメーカー側に瑕疵担保責任は発生しなくなります。

③実際の施工は下請け業者がおこなう

ハウスメーカーに屋根の工事を依頼した場合、実際の施工はハウスメーカーではなく下請けの業者がおこなうことになります。

ハウスメーカーは基本的にそういった体制になっているので、ハウスメーカーに依頼する場合はその仕組を理解した上で依頼するようにしましょう。

(3)工務店

屋根の修繕を依頼できる屋根工事業者の3つ目が、「工務店」です。

ハウスメーカーの地域密着型のような位置づけの業者で、地域に根ざしたサービスが魅力の業者だといえます。

①下請け業者に依頼して施工する場合中間マージンが発生する

工務店は、地域密着型のハウスメーカーのような業者です。

そのため、工事自体を下請け業者に発注して施工することも少なくありません。

その場合、中間マージンが発生するため、費用が割高になってしまいます。

②下請けの場合、途中から職人さんが変わることがある

施工をフリーの職人に依頼している業者の場合、対応する職人が途中から変わってしまうことも珍しくありません。

その場合、職人の間で意思疎通が取れていないと上手く引き継ぎがおこなえず、リスクになってしまうことがあります。

(4)リフォーム会社

屋根の修繕を依頼できる屋根工事業者の4つ目が、「リフォーム会社」です。

住宅の建設ではなく修繕にあたるリフォームを中心に請け負っているため、カバー工法など屋根の修繕に精通している業者が多い傾向にあります。

①営業マンは歩合制が多い

リフォーム業者の中には、営業マンの給与を歩合制としているところがあります。

そういった業者の場合、営業マンが契約を取るのに必死になるため、強引な手段で契約を迫ったり、自社でできない内容で工事を受注し、後々トラブルに発展してしまったりするようなことがあります。

②安さを売りに無責任な施工をされる場合がある

リフォーム会社の中には安さを売りにしているような業者がありますが、そういった業者の場合、少しでも利益を得るため工事を簡略化したり工程を短縮したりすることがあるため、施工後に不具合が発生してしまう可能性があります。

(5)専門会社

屋根の修繕を依頼できる屋根工事業者の5つ目が、「専門会社」です。

屋根の工事を専門的におこなっているため、技術力が高く、どこよりも安心して屋根の修繕を任せることができます。

①自社で施工するため中間マージンがかからない

専門会社は依頼された工事を下請け業者に任せるようなことはしません。

すべての工程を自社で対応します。

中間マージンが発生しないため、費用も安く抑えられる傾向にあります。

②1つの工事で同じ職人さんにやってもらえる

専門会社は下請け業者に仕事を依頼せず自社でおこなうため、対応する職人が変わるようなこともありません。

そのため、一貫した工事が可能になります。

屋根工事の業者の選び方

実際に屋根工事業者を選ぶ場合、これから紹介する6つのポイントを意識して選ぶようにしましょう。

(1)最低限、リフォーム瑕疵保険の加入業者

リフォーム瑕疵保険はリフォームに不備があったときの資力を確保するために業者側が加入する保険です。

リフォーム瑕疵保険に加入している業者であればより安心して工事を依頼できるため、リフォーム瑕疵保険に加入している業者を選ぶようにしましょう。

(2)建設業の許可を持っている

屋根の修理を請け負う業者は、500万円以上の工事をおこなう場合、建設業の許可を取得する必要があります。

500万円以下の屋根工事にのみ対応する業者であれば建設業の許可はいりませんが、そういった小規模の工事にのみ特化している業者よりは、きちんと建設業の許可を取得している業者に依頼するようにしましょう。

(3)カバー工法のメリットとデメリットを説明してくれる

屋根の修繕を業者に依頼する場合いろいろと相談しながら進めていくことになりますが、その際、カバー工法のメリットやデメリットについてしっかりと説明してくれる業者を選ぶようにしましょう。

工事をおこなう上での注意点となるデメリットについてしっかりと説明してくれるかどうかは特に重要です。

(4)葺き替え工事のメリットとデメリットを説明してくれる

カバー工法ではなく葺き替え工事での対応となる場合、葺き替え工事のメリットとデメリットについて説明してくれるかどうかについても確認するようにしなくてはいけません。

また、「なぜカバ-工法で対応できないのか」についてもこちらが納得いくように説明してくれるかどうかも重要になります。

(5)職人さんの顔が見える

屋根の工事を実際に施工してくれるのは職人です。

そのため、どういった方が工事をおこなってくれるのかが確認できる業者であることも重要になります。

(6)社長と社員のマナーを確認する

業者を選ぶ場合、社長と社員のマナーや対応も確認するようにしましょう。

マナーの良くない業者や対応の良くない業者には工事を依頼するべきではありません。

親切かつ丁寧に対応してくれる業者を選ぶようにしてください。

まとめ

屋根の修繕が必要になった場合カバー工法か葺き替えで対応することになりますが、費用を抑えたいのであればカバー工法がおすすめです。

カバー工法にはその他にもメリットがたくさんありますので、まずはカバー工法で対応してもらえないか確認されることをおすすめします。

また、屋根の修繕をおこなってくれる業者にはさまざまな業者がありますが、屋根の修繕の専門家である専門業者への依頼がおすすめです。

今回紹介した業者の選び方を参考に、優良な業者に工事を依頼するようにしましょう。

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